大阪地方裁判所 昭和63年(わ)1596号 判決 1989年2月14日
本店所在地
大阪市淀川区三津屋南三丁目五番一四号
株式会社新大阪ゴルフ商会
(右代表者代表取締役 成喆永)
国籍
韓国(慶尚南道昌寧郡都泉面徳谷里八七五番地)
住居
大阪市淀川区十三元今里二丁目一一番二号
会社役員
成田三郎こと
成喆永
一九三一年一〇月二日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社新大阪ゴルフ商会を罰金六、〇〇〇万円に
被告人成喆永を懲役二年にそれぞれ処する。
被告人成喆永に対し、この裁判が確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社新大阪ゴルフ商会(以下「被告会社」という。)は、大阪市淀川区三津屋南三丁目五番一四号に本店を置き、ゴルフ用品卸売業を営む資本金五〇〇万円の会社、被告人成田三郎こと成喆永は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人成は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て
第一 被告会社の昭和五八年四月一日から同五九年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億一一二五万七六六〇円(別紙(一)修正損益計算書参照)にあつたのにかかわらず、公表経理上架空仕入を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿した上、同五九年五月二六日、大阪市淀川区木川東二丁目三番一号所在の所轄東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二二九〇万八四八六円で、これに対する法人税額が八六三万五七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八七七四万二三〇〇円と右申告税額との差額七九一〇万六六〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れ
第二 被告会社の同五九年四月一日から同六〇年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億六〇七万三三三〇円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六〇年五月二三日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一三二五万一二八〇円で、これに対する法人税額が四七〇万一八〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額八八一九万三七〇〇円と右申告税額との差額八三四九万一九〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れ
第三 被告会社の同六〇年四月一日から同六一年三月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億一四一四万八一二七円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿した上、同六一年五月二九日、前記東淀川税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が四二八万七九七九円で、これに対する法人税額が一一三万三〇〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額九一五四万六一〇〇円と右申告税額との差額九〇四一万三一〇〇円(別紙(四)脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告人成の当公判廷における供述
一 被告人成の検察官に対する供述調書二通
一 収税官吏作成の被告人成に対する質問てん末書七通
一 池田和美、大高トシ子の検察官に対する各供述調書
一 大高トシ子作成の確認書
一 収税官吏作成の池田和美(一一通)、大高トシ子(五通)、武田信一(二通)、清水登(二通)、清水けさ、松本喜久子、吉田幸子、申東震、朴秋子(二通)に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書二一通(検察官請求分証拠等関係カード番号9、10、16、18から30、32、34からち36、38)
一 東淀川税務署長作成の証明書(同8)
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同31)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同1)
一 東淀川税務署長作成の証明書(同4)
判示第二及び第三の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(同33)
判示第二の事実について
一 収税官吏作成の成康永に対する質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書六通(同11から15、17)
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同2)
一 東淀川税務署長作成の証明書(同5)
判示第三の事実について
一 収税官吏作成の脱税額計算書(同3)
一 東淀川税務署長作成の証明書(同6)
(法令の適用)
被告人成の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人成の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、いずれも法人税一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項所定の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金六〇〇〇万円に処することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 的場純男)
別紙(一)
修正損益計算書
((株)新大阪ゴルフ商会)
自 昭和58年4月1日
至 昭和59年3月31日
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
((株)新大阪ゴルフ商会)
自 昭和59年4月1日
至 昭和60年3月31日
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
((株)新大阪ゴルフ商会)
自 昭和60年4月1日
至 昭和61年3月31日
<省略>
別紙(四)
脱税額計算書
(株)新大阪ゴルフ商会
<省略>
※58.4.1~59.3.31の正当申告額中《 》内数字は、計算過誤による実際申告額。